コラム

2020.10.21

生理痛(月経困難症)の診察について

生理痛(月経困難症)の診察に力を

当院では特に生理痛、いわゆる月経困難症の診療においては実績を重ねてきました。
不妊症の原因となる器質的なもの、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症といった疾患をできる限り早期に見つけ、適切な治療を進めていきたいと考えています。

女性の体調はひと月周期で変化や波があるという前提を改めて認識する必要があります。
月経周期というものがあるわけですから、それに合わせて診察をしないことには必要な情報も集められませんし、適切な治療も望めないということになります。

昨今、生理痛の緩和にピルの処方を望む方が増えています。そのこと自体に問題はありませんが、なぜ生理痛が起こるのかということを突き詰めることなく安易にピルを用いていると、重大な疾患を見逃すことにもなりかねません。
たとえば内科の分野においても、漫然と同じ薬を使い続けることへの弊害が指摘されているように、きめ細かな診察が必要と考えています。

患者さんが望むことだけを提供するのが医療ではない

問診を丁寧におこなうことが大切です。症状の背景にある個々の状況を詳細に把握する必要があります。
患者さんが問診票に記入するのは、その人が自覚していることだけです。書かれてあることをただ受け止めるのではなく、その裏側にあるものを引き出すのが医者の仕事です。
「医療はサービス」と見る向きもありますが、私個人はそうと考えてはいません。患者さんが望むとおりの処置を提供する、というのでは医者としての役目を果たしてないことになります。
生身の人間を見て、声を聞いて判断するべきなのです。

私たちの仕事は、観察日記に例えられるかもしれません。小学生の時に、植物の種を蒔いて成長を観察しましたよね。断面ではなく、過程をつぶさに見ているからこそわかるものがあるのです。医療で、細心の注意を払っていても、見立て違いというものがどうしても出てきます。それを修正していくには、普段からより多くの情報を得て、過程を重視する必要があるのです。

これから受診される患者さんへ

インターネットは便利なものですが、人は誰しも自分に都合の良い情報を求める傾向があります。
あるいは、知人や友人から、耳の痛くなるようなことを言ってもらえることは少ないでしょう。拙速に情報を求めるだけで終わらせず、気になることがあったら専門家に尋ねてみてはどうでしょうか。

来院される際には、できるだけ症状がある間に受診してください。例えば風邪を引いた時、症状が治ったあとに内科を受診することはありませんよね。
出血ひとつとっても、その量や色、匂い等で我々は判断していきますから、症状のあるうちに診察することが大切です。気になる症状があれば、できる限りその日のうちに受診することを心がけてください。

 

東京ドクターズインタビューより

2020.05.27

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